スポーツ 男子新体操全国オンライン選手権 2022,12,05

2022オンライン競技会 選手紹介(主会場)

今回のオンライン競技会の最大のウリなのが、「主会場にトップチームが集まっての演技披露」。ダンスバトルさながらに、それぞれのチームが自分たちの実力と魅力を「これでもか!」とライバルチームの前で見せつけ合う。視聴者にとってこんなにエキサイティングなことはない!まずは、主会場となる国士館大学に集うチーム、選手を紹介しよう!

〇鹿児島実業高校(鹿児島県)

男子新体操界ではある意味もっとも知名度の高いチームだが、今年の鹿児島実業は話題性で選ばれたわけではない! 8月に行われたインターハイで堂々の3位! 10月に行われた全日本選手権でも決勝進出と競技成績でも大躍進を見せ、今回は正真正銘「実力」で選ばれての出場となった。とは言え、あのカジツのことだ。インターハイの観客が息をのんだ美しい演技だけではなく、オンライン競技会ならではの、コミカル満載演技も、おそらく、多分、きっと、見せてくれるのではないだろうか。真面目にやれば高校トップレベルの実力を証明した今年のメンバーが全力でコミカル演技をしたら? それは限界突破の面白さ間違いなしだ。このカジツの振れ幅の大きさにみんなついてこれるかな?

〇神埼清明高校(佐賀県)

インターハイ準優勝の神埼清明は、そのタンブリングの強さではまさに超高校級を誇る強豪チームだ。そのタンブリングのスピード、高さには誰もが度肝を抜かれるに違いない。しかも! 今回のオンライン競技会に出場するのは1,2年生だけの新チーム。それでも、インターハイ準優勝メンバーに見劣りしない演技をやってのけるところが、神埼の強さであり、恐ろしさだ。現在、男子新体操界では突出した巨人となりつつある青森大学も団体メンバーのほとんどをこの神埼清明OBが占めるほど、男子新体操の中枢を担っているのがこの高校なのだ。

〇青森山田高校(青森県)

インターハイ優勝チームだが、そこまでの道のりは決して平坦ではなかった。2021年から青森山田高校は、同校OBでシルク・ドゥ・ソレイユのアーチストとして長く海外で活躍してきた柴田翔平を監督にすえた。競技者として、アーチストとしての実績は十分だった柴田だが、監督としてはまだ新米。昨年のインターハイでは団体6位、今年の3月の高校選抜では3位と、強豪校としてはやや物足りない結果で終わっていた。そして、今年のインターハイでは採点では不利と言われている試技順1番となり、運にも見放されたかに思われた。が、その逆境がいい意味で選手たちを開き直らせた。「こんなの練習でも見たことない」と柴田監督を歓喜させた会心の1本が本番で飛び出し、そのまま優勝を決めたのだ。10月に行われた全日本選手権でも団体決勝で5位と、高校生の中ではトップの成績を収め、インターハイでの演技がフロックではないことを証明して見せた。例年に比べると、やや線が細く華奢な印象のチームだが、音楽と一致した動きのキレ、シャープなタンブリング、スリリングな組み技や交差技など、「さすが高校トップチーム」と思わせる演技を見せてくれるに違いない。

〇石川裕平

今年から某放送局に登場した石川裕平は、じつは国士館大学で個人選手を務めていた男子新体操経験者だ。現役時代には、その動きの美しさと表現力に定評のあった選手だが、その石川が今回のオンライン競技会では、「個人演技のダイゴミ」を教えてくれる。男子新体操というと団体が取り上げられることが多く、個人演技にスポットがあたることは少ないが、美しい動きと巧みな手具操作が融合する個人演技の魅力は見ればきっとわかってもらえるはず。石川裕平という最高のナビゲーターがみなさんを「個人演技という魅惑の世界」に誘ってくれるだろう。

〇貝瀬 壮(光明学園相模原高校)

5月のユースチャンピオンシップ優勝、インターハイでは3位。今年の高校生トップ争いにがっちり食い込み結果を残してきた選手だが、昨年までは本番ではややミスが多く、上位にはなかなか入れずにいた。今年3月の高校選抜でもミスを連発していたが、そこから見事に覚醒。持ち味の素直で癖のない美しい体操を存分に発揮しながら、難しい手具操作にも果敢に挑み、選手としてのステップアップを果たした。

〇本田歩夢(盛岡市立高校)

今年のインターハイ個人チャンピオン。高校選抜優勝の岩田隼選手、ユースチャンピオンシップ優勝の貝瀬選手といったライバルひしめく中でインターハイ優勝を勝ち取った本田選手の特徴は、音楽と見事に調和した動きだ。また、演技に独創性もあり、見ている人を引き込む力がある。高校生ながら表現力にたけた選手ということができるだろう。技術的にもかなり難しいことにも挑戦しており、その分、まだミスが出てしまうこともあるが、まだまだのびしろ十分なチャンピオンとして将来が嘱望されている。

〇国士舘大学(東京都)

個人演技の魅力を解説してくれた石川裕平さんが、まず個人演技を披露し、続いて国士舘大学の選手たちによる長縄の集団演技が予定されている。今年の国士舘大学は、全日本インカレ時はやや青森大学に水をあけられたように見えていたが、10月の全日本選手権までに演技を一新。これまでに見たことにないような「強い国士舘団体」を作り上げ、観客をあっと言わせ、青森大学との距離もぐっと縮めて見せた。4年生が少なく来年以降もほぼ戦力が落ちない国士舘大の団体は、来年は、青森大学にとって大きな脅威となりそうだ。そんな力を持った選手たちによる長縄演技は、コミカルな楽しさも満載ながら、超人的なスゴ技もてんこ盛り。海外遠征などでも観客に大人気のスペシャルパフォーマンスを、このオンライン競技会で見せてくれる。

〇青森大学(青森県)

全日本インカレ団体では、今年で21連覇を果たした青森大学。全日本選手権でも優勝し、向かうところ敵なしの強さを誇るが、今年の青森大学団体は、強いだけではない魅力に溢れていた。ただ強い、上手い、だけではなく見る人を「ハッと」させる瞬間があちこちにちりばめられており、非常に印象に残る演技になっていたのだ。それも、少し前の青森大学では代名詞になっていた「ブランコ」のような派手な組み技ではなく、動きの中での瞬間的なアクセント、緩急、それが効いていた。いつの間にか「非常口」という呼び方が浸透していた今年の青大団体を象徴する動きとポーズは、一目見れば「非常口」と呼ばれる理由がわかると思うが、こういうインパクトの残し方は、今までの青森大学にはなかったように思う。いや、男子新体操全体でもあまりなかったのではないか。

タンブリングや体操の質、その同時性などでは他の追随を許さずトップに君臨し続ける青森大学が、こんな魅せ方もするなんて! それは嬉しい驚きであり、男子新体操団体の新しい可能性を示してくれたように思う。ただ勝つためだけなら、この創意工夫は必要なかったとも思うが、王者・青大だけに、「ただ勝つ」「ただ強い」以上のものを求め、研鑽してきた結果が今年の演技だったのだろうと感じた。強いだけでなく、魅力がいちだんと増した今年の青森大学団体の演技は、多くの人に強い印象を残すに違いない。

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