スポーツ 男子新体操オンライン選手権 2021,01,12

【ジュニア総括】男子新体操オンライン選手権2020

●男子新体操オンライン選手権でジュニアたちが見せた可能性

オンライン選手権は「高校生部門」だけでなく「ジュニア部門」も開催された。
インターハイ中止ほど話題にはならなかったが、今年は、ジュニア選手にとっての最大の目標である全日本ジュニア新体操選手権(例年11月に開催)も早々に中止が決まり、それに伴いほとんどの地域で予選大会も中止になった。
今年は、ジュニア選手が出場できる大会は1つもなかったという地域もあった。それを思うと、たとえオンラインであってもこの「オンライン選手権」という大会があったことがジュニア選手にとってはモチベーションとなったのではないかと思う。

エントリー14チームの中で決勝進出したのは10チーム。中でも、そのトップ3に輝いた神埼ジュニア新体操クラブ、国士舘ジュニアRG、水俣ジュニア新体操クラブは、3チームとも9点台にのせる堂々たる演技を見せた。今年も全日本ジュニアが開催されていたならば、間違いなく優勝争いを展開しただろうと思わせる名演だった。
4〜6位の滝沢南中学校、BLUE TOKYO KIDS、大垣共立銀行OKB体操クラブは、
7.300〜6.825の間に3チームがひしめいている。得点ではトップ3には及ばないまでも、見劣りすることなく、1年もすればトップ争いにも加わってきそうなポテンシャルが感じられた。とくに1人足りない5人編制で0.750減点をされている大垣共立銀行OKB体操クラブは全体的に体操の質が高く、タンブリングからも基本の確かさが感じられた。
7〜10位のKOKUSHIKAN RG、島田ジュニア、滝沢南RG、丹後ジュニア新体操クラブの4チームも人数が足りないことによる減点(KOKUSHIKAN RG、島田ジュニア)などもありながらも、男子新体操の持つ「良さ」、チームとしてまとまって演技をすることの「楽しさ」などが伝わってくる演技をしていた。

男子新体操のジュニアクラブが今のように増えたのは、ほんのここ10年のことだ。今回のオンライン選手権に参加していたチームでも、10年前にはなかったクラブも少なくない。それでも、この10年でジュニアの裾野は広がり、こうして団体演技にも挑戦できるだけの人数のクラブ員を確保できるクラブも増えてきた。採点すれば上位チームとはまだ差があっても、ジュニアのうちに基本だけでもマスターしておけば、高校生になってからの伸びはおおいに期待できる。今大会は、そんな金の卵たちが「オンライン」という方法で一堂に会することができた貴重な場だったと言えるだろう。
じつは、ジュニア部門で予選落ちした4チームも、決勝進出したチームと遜色のない演技を見せてくれたことも大きな収穫だった。
予選11位と惜しくも決勝進出を逃したジャンクションスポーツクラブは、近年、男子新体操不毛の地だった秋田県で立ち上がったまだ新しいクラブだが、指導者には全国レベルで活躍していた競技経験者が多く、かなり本格的な新体操を志していることが演技から感じられた。とくに上下肢運動や胸後反などは素晴らしかった。男子新体操が盛んな東北で秋田の存在感が大きくなる日も遠くなさそうだ。
12位の京都少年体操学校は5人編制のため0.750の減点がされているが、その減点がなければ十分決勝進出圏内だった。タンブリングもしっかり安定感をもって行えており、連続のバク転もできる。力のあるチームだと感じた。
13位の向陽新体操クラブは、年齢、体格差のあるチームだったが、年長者の選手たちはかなりレベルが高く、美しい線をもっていた。こんなお兄さんたちと一緒に練習しているちびっこ達ならきっと同じように美しい体操をする選手に育っていくのではないかと思う。14位のホワイトキューブ新体操教室は、4人編制で1.500の減点があり最下位ではあったが、4人とはいえその演技内容、レベルは十分決勝進出に値するものだった。

オンライン選手権を盛り上げたジュニア部門の10チームに加え、予選敗退チームでもこれだけ見どころのある演技を見せてくれたことに、男子新体操が10年前とは格段に浸透したことを感じた。さらに、以前はジュニアはまだまだ遊びの延長といった取り組みのクラブも少なくなかったが、こういった大会に参加する機会も増えてきたこともあり、しっかりと「やるべきこと(=基本)」に取り組んできていることも感じられた。
数年後には、より進化した男子新体操が見られるのではないかと思わずにはいられなかった。

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